【婚活小説】2度と結婚情報サービスなんて

第4話 入会手続き

結婚相談所を3社もまわったのでさすがに美穂も疲れていた。
部屋に帰ると服も脱がずにベッドに身をあずけた。
足がクタクタだ。
つま先が少し痛かった。
まぶたが重く、今にも眠ってしまいそうだ。

部屋にスマホの着信音が鳴り響き、
美穂の眠気は一瞬で消え去った。

出てみると1社目に訪れた結婚相談所からだった。
ただの勧誘の電話だったのでちょっと話してすぐに切った。

ベッドにふたたび倒れこむと、
すぐに眠気が戻ってきた。
まどろんでいるようないい気持ちだ。

オーネットは勧誘の電話もかけてこないし、
帰るときも無理に入会を迫るようなことはしなかった。
そういった点で信用できる気がした。
何より遠藤の人柄が温かかった。
お世話になるならああいう人に是非お願いしたい。

オーネットは当初第三候補だったけど、
よく考えてみれば比較サイトなどでも一番評判がいい結婚相談所だ。
業界最大手でもある。
文句なしではないか。

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オーネットに電話をかけるとすぐに遠藤自身が出た。
美穂は入会を希望する旨を告げ、
必要書類をすでに用意済みであることを伝えた。
遠藤は嬉しそうにお礼を言った。
しかし独身証明書だけはまだ用意できていなかった。
どうやって入手すればいいのかがよくわからない。
「大丈夫。独身証明書は私が代わりに請求してあげる。今揃えている分で大丈夫だから手続きしにおいで」

美穂は次の日曜日の予約を入れて電話を切った。
心配していた独身証明書も遠藤が代わりにやってくれるようだ。
やはり頼りになる人だと思った。

当日も美穂は早めに家を出た。
10分前行動はもう骨の髄まで染みついている。

今日は一番お気に入りのワンピースを着ていった。
今日は入会の手続きだけではなく写真の撮影もするから、
目一杯おしゃれな格好で来てねと遠藤は言っていた。
どういう服装が婚活向きなのかはわからないが、
多分小綺麗な感じの方が男ウケはいいのではないだろうか。

その読みは正しかったようで、
オーネットに到着すると遠藤は美穂の服装を褒めてくれた。
最近外見を褒められることも少なくなたったので、
少し恥ずかしかった。

まずは持ってきた必要書類を渡し、
入会手続きを行った。
登録が完了するまでは10日ほどかかるらしい。
会員証などが宅配便で届くので、
その後から活動できるようになるとのこと。

写真はオーネットと提携している近くの写真館で撮影することになった。
そこには美穂ひとりだけで行った。
プロに写真を撮ってもらうなんて初めてで、
ずいぶん緊張した。
カメラマンにも何度かリラックスするよううながされた。

でもそのかいあってか、出来上がった写真はすごく良かった。
まるで自分ではないみたいに可愛いく撮れている。
服装もバッチリだったのではないだろうか。
清楚な感じで相手のお母さんにも気に入ってもらえそう。

美穂は出来あがった写真をもってオーネットに戻った。
この出来の良い写真を見たら、
遠藤もきっと喜んでくれるだろう。

しかしオーネットでは別の女性が美穂の対応をした。
遠藤は忙しいらしい。
でもどうしても写真を見て欲しかったので、
1分間だけでも出てきてもらえないかと尋ねてみた。
「ダメですね。遠藤さんはただいま会員様の応対中です」
なんだか冷たい言い方だった。
仕方なく美穂は写真をその人に預け、遠藤に宜しく言ってくれるよう頼んで帰った。

あとから電話がかかってくるのではないかと期待していたが、
その日遠藤から電話がかかって来るようなことはなかった。

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遠藤が言っていたように、
会員証が届いたのは手続きに出向いてから10日後のことだった。
封筒みたいなもので届くと思っていたが、
ダンボール箱が届いたのでビックリした。

中を開けると雑誌みたいなものが入っていた。
その他に書類や割引券などいろいろ。

雑誌はイントロGという会報誌で、
毎月送られてくるらしい。
開いてみるとオーネットからのお知らせとか、
成婚者へのインタビューなどが載っていた。
新会員の情報も載っている。
でも美穂はまだ載っていない。
美穂が載るのは来月号だ。

オーネットのホームページにもログイン出来るようになったので、
さっそくアクセスしてみた。
会報誌と同じようにいろんなお知らせや、
会員情報が載っている。
コンタクトを申し込んだり、 メッセージのやり取りをするのもこのページからだ。
いつでも見れるようにさっそくブックマークしておく。

もう自分は正式なオーネット会員だ。
誰かにコンタクトの申し込みをしてもいいのだ。
でもなんだか急に怖くなった。
もう4年も男性とは交際してない。
最後に付き合ったのも4年間付き合った人だ。
そういう点を加味すれば28歳から恋愛の活動は全然していないのだ。
実に8年も恋愛からは遠ざかっている。
いまから出来るだろうか。


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