【婚活小説】2度と結婚情報サービスなんて

第9話 待ち合わせ場所で

掲示板開設から2ヶ月たっても会おうと言ってこない彼に業を煮やした美穂は、
会う段取りを強引に押し進めた。
彼はまたノラリクラリと面談を避けようとしたけど、
そんな彼を黙らせて、強引に次の日曜日に会うように持っていった。

彼は最後まで乗り気ではないようではあった。
でももうこれ以上は待てない。
このままのんびりやっていたら37歳の誕生日が来てしまう。

会うことにはなったけど、
美穂のモチベーションは下がる一方だった。
もともと外見に魅力を感じない彼だ。
内面はまともそうだから掲示板を開設したのに、
いつまでも優柔不断にのらりくらりしている。

彼から内面を取ったらもう何も残らないではないか。
優柔不断なただのデブだ。

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面談当日も美穂はあまりノリ気ではなかった。
男性に会うとなるともっとウキウキするものではないだろうか。
ずっと恋愛から遠ざかっていて、
久しぶりに男性と休日に会うのだ。

しかし気分の高揚はまったくなかった。
こんな気持で自分は結婚など出来るのだろうか。

待ち合わせ場所に到着したときも、
そうした気持ちは消えなかった。
彼が現れたときにちゃんと笑顔を作れるか心配になってきた。

美穂は10分前に待ち合わせ場所に到着した。
いつものように10分前行動だ。
彼はまだ来てない。
美穂はそのまま待つことになった。
待ち合わせ時間ギリギリに来るような人なのかもしれない。

そういう人だったら嫌だなと思った。

それから10分が過ぎた。
まだ彼は来ない。
ランチに合わせて12時に待ち合わせをした。
時計はその12時00分ちょうどを指していた。

あたりを見回してみる。
写真で見たあの太った外見の男は見当たらない。

スマホが鳴りだした。
出てみると彼からだった。
「河合さん、今どちらですか?」
「待ち合わせ場所でずっと待ってますよ。早く来て下さい。今どこですか?」
「あの、ボク考えたんですけど、やっぱりもう少し時間をかけた方がいいと思うんですよね」
「ちょっと、何言ってるんですか。いい加減にしてください」美穂はつい大きな声を出してしまった「とにかく、話は会ったときにしましょう。今どこですか?そこから私が見えますか?」
「いや、まだ家にいるので」
「はぁ?」

美穂は我が耳を疑った。
彼はまだ家を出ていないという。
ここまで1時間以上はかかるだろう。

「お互いをよく知ってから会ったほうがボクはいいと思うんですよ。河合さんはとにかく一度会おうとおっしゃいましたが、まずはよく話をすべきだと思うんですよね」
「いや、もういいです」
「え、いいんですか」
「はい。もういです。掲示板は閉じましょう」
「でも」

美穂は電話を切った。
まさかのドタキャンだった。
そういうことをする人ではないと思って今日までダラダラと
無駄にメッセージのやり取りを続けてきてしまった。
そして最後はまさかのドタキャンだ。

男性に会うのだからと思い、
美穂は一応今日はきれいに着飾ってきたのだ。
スカートはわざわざ昨日の土曜日に、街へ出掛けて買ってきたものだ。
お化粧だっていつもの倍ぐらい時間をかけて仕上げた。

待ち合わせ場所でひとり突っ立てる自分が
ひどくバカな女に思えた。
ひとりで一生懸命になって、
挙句の果てにはドタキャンだ。

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マンションの前まで帰ってくると、
中に入るのが急に嫌になった。

やはりまっすぐ帰ってくるべきではなかった。
どこかに寄って気晴らししでもして帰ってくればよかった。

でもあのときはひどく疲れを感じて、
もう家に帰りたいっと思ったのだ。
どこにも行く気になれないし、
どこかで気晴らしする気にもなれなかった。

でも電車に乗ってマンションまで帰ってくると、
虚しさが胸を突き上げてきた。
まだお昼の2時だった。
せっかくお出掛け用の格好をしたのに、
まさか午後2時に家に戻ってくるとは。


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